2022年12月2日金曜日

勉誠出版社より陰陽道史研究の会 編による書籍が刊行されます!

  この度、勉誠出版様より発刊されている『アジア遊学』278号は、陰陽道史研究の会 編による『呪術と学術の東アジア 陰陽道研究の継承と展望』というタイトルで、陰陽道研究の現状と、最新の研究結果を特集した一冊となります。発売は12月中を予定しておりますので、是非ともお手に取っていただければと思います。


勉誠出版 アジア遊学 278

『呪術と学術の東アジア 陰陽道研究の継承と展望』

陰陽道史研究の会 編

定価:3,300円(本体 3000円)


★ご注文・申し込みは 勉誠出版ホームページ

https://bensei.jp/


★書籍情報と注文ページ(勉誠出版HP内)

https://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=2&products_id=101352


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2022年10月28日金曜日

2022年10月第14回研究会 参加記

 第14回 陰陽道史研究の会 参加レポート

木下琢啓

 第14回「陰陽道史研究の会」は10月2日、オンラインによって開催された。今回は「古代~中世の暦と暦道」と題し、陰陽道と切り離す事の出来ない暦と暦道がテーマとなった。発表者は吉田拓矢氏と湯浅吉美氏、総括コメンテーターは細井浩志氏が務めた。

 最初に吉田拓矢氏が「日本古代における暦算と争論―暦道・宿曜道・算道―」と題して研究成果を報告した。本報告では,暦日・日月蝕に関する争論を具体的に分析することで,暦道内部および宿曜道・算道それぞれの暦算に係わる技能や姿勢を考察した。

10世紀の争論は,正権暦博士の間で起きたものであり,これまでは〈会昌革派の大春日氏―宣明暦派の葛木・賀茂両氏〉という対立構図で捉えられてきた。しかしながら,会昌革に依拠したと称する大春日氏の主張が,じつは宣明暦計算と合致している。会昌革は宣明暦と対立する暦書ではなく,両暦博士は宣明暦をどのように理解し運用するかを争論していたのであった。

11世紀以降の争論は,暦道(賀茂氏)が作成した日月蝕予報に,宿曜道・算道が異を唱える,という構図に変わる。たしかに暦道は,しばしば予報を外し,宿曜道・算道に敗れることもあった。しかしそれは,思いがけず蝕が現れることを回避しようとした結果であり,むしろ暦道は,宿曜道・算道よりも宣明暦ないし暦学そのものに習熟していたことが想定される*。<*報告要旨文責:吉田拓矢氏>

 発表後の質疑応答では、これまで“大春日氏と葛木氏・賀茂氏との論争”として理解されがちであった古代暦道の実情認識についての意見、また大春日氏が使用した『会昌革』が何らかの形で現存しているか否かについての質問、宣明暦法の計算方法や日食予報の出し方についての質問が出た。

 次いで湯浅吉美氏は「具注暦原本調査の経験から― その着眼点と留意点 ―」と題して、湯浅氏自身の調査経験をもとに、古代・中世の具注暦原本が何故今に遺るに至ったか、そして実地調査においての注目すべき点、また調査時に注意しなければならない点についての解説がなされた。

 具注暦は、貴族や僧によって日記が書き込まれた事、また紙背が再利用された事が現代にまで残る大きな理由となった。そして年代特定が容易であり、特別な事情がない限りはほとんどが原本であるという、「史料としての具注暦」の特徴について説明があった。

 続いて4つの具注暦原本調査例を基に、残存状況と経緯、さらに紙背文書に記されている文書の内容などの各種特徴について、調査時のエピソードも踏まえて紹介された。

 締めくくりとして、原本調査時に用いる道具に関する注意点、状態や時代の判定基準となる部分の見方といった、実地調査における留意点について、氏の豊富な経験と共にアドバイスがあった。

 質疑応答では、断片的な形で残っている具注暦の場合の年次判定方法についての確認や、現存する具注暦は暦道を司る賀茂氏以外に作成者はいるか、また後年に流布する「仮名暦」にも具注暦の調査方法が使えるかといった質問が出た。

 吉田・湯浅両氏による研究発表の後、細井浩志氏による総括があった。そこで細井氏からは発表者への質問がなされ、まず吉田氏に対しては日本で採用された宣明暦と本来の宣明暦との相違や会昌革との関係性について、延喜十八年の日食廃務不可の件、そして賀茂氏の学問の性格について意見を求めた。湯浅氏に対しては、暦注が書写される際に暦注と行事との関係を重視する可能性について、また暦に使う料紙の種類や時代性、具注暦本体の年次と後年の箱書の齟齬がなぜ起きたかといった質問を挙げ、発表者による回答があった。

 

最後に総合討議があり、そこでは『会昌革』についての意見のほか、宿曜道や算道と、暦法との関係、宮中の女房達の手に如何にして暦が渡ったかについて、さらに中世賀茂氏の日月蝕推算に関する質問や、暦注を巡る論争は起きたのか否かといった質問が出されて、発表者がこれに回答した他、参加者からも様々な意見が出されて活発な議論が展開された。


2022年8月11日木曜日

【新刊】山下克明著『陰陽道―術数と信仰の文化』

 

本会の呼びかけ人である山下克明氏の新刊『陰陽道―術数と信仰の文化』が発売されました。

倉本一宏監修 王朝時代の実像5(全15巻シリーズ)

臨川書店 税込3,740円(本体3,400円+税) ISBN978-4-653-04705-6

http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04705-6.htm

本研究会での研究発表に基づく一冊です。


2022年6月2日木曜日

2022年4月第13回 陰陽道史研究の会 参加記



2022年4月第13回 陰陽道史研究の会 参加記 木下琢啓

 第13回「陰陽道史研究の会」は4月3日、オンライン会議システムZOOMを使って開催された。今回は、「「簠簋(ホキ)内伝」をめぐる諸問題」と題し、中近世陰陽道史研究の焦点ともいえる『簠簋内伝金烏玉兎集』および、その中で展開される諸説話に関する研究成果の発表となった。これは、『新陰陽道叢書』第4巻民俗・説話篇のテーマとも関わる。今回は小池淳一氏、馬場真理子氏、鈴木耕太郎氏の3名が発表した。

司会の斎藤英喜氏より趣旨説明の後、小池淳一氏が『中世末期東国における「簠簋」の意義―書誌と構成から―』と題して、福島県会津地方で発見された「簠簋」伝本を中心に中世末の東国で同書が果たした意義について発表した。書写された年次が明らかな「簠簋」写本のうち中村璋八『日本陰陽道書の研究』では未検討であった写本を含む諸本について、研究状況・特徴などを解説した。結果、これらの写本が東国における真言宗の拠点寺院に流通している事を指摘。陰陽師が管理しない場での「陰陽道知識」の集約を示す重要な典籍として位置付けた。発表後の質疑応答では、仏教における暦注の受容状況から、本研究は陰陽道の展開ではなく暦の展開として捉えるべきではないかという指摘や、後世に起きる仏教の天文学学習活動(梵暦運動)への影響についての質問が挙がった。

 馬場真理子氏による「大雑書における方位神の語り―『簠簋内伝』との関わりを中心に」では、記号的存在であった方位神への認識が、「簠簋」に収められた牛頭天王神話により変化していく様子を、“正当な暦道の言説”と言える『暦林問答集』と、近世庶民層を中心に広く読まれた「大雑書」を通して考察した。「大雑書」が「簠簋」の世界観を受容した度合いが時代と共に変化したことを跡づけた。最後に馬場氏は方位神の視覚イメージについて試論を示した後、総括として多少の差異があれ、方位神の姿や性格を記した「簠簋」の存在は「大雑書」にとって不可欠であったと結んだ。質疑応答では「大雑書」編者を発表者はどう考えるか、という質問や、八将神像の持物について意見が出されていた。

 鈴木耕太郎氏は「『簠簋内伝』諸本比較から考える― 巻一を中心に ―」として、「簠簋」の巻一に所収される牛頭天王の物語と暦注部の構成が、伝来する写本で異なる事に焦点を当て、特に内容に差異がある『群書類従』所収本と天理大学付属図書館所蔵「揚憲本」を比較した。氏は場面ごとに内容を比較し、相違点と特徴を明らかにした上で、各版における牛頭天王の物語描写と同巻中に収められる暦注の記述との深い関係を指摘した。そして、今後の検証により各版の作成者と受容層を知りうるという展望を示した。最後に今後の課題として、巻一だけでなく巻二以降の暦注部の異同の確認、他の写本の内容の調査、さらに中部・西日本での「簠簋」の広がりの有無について調査検討する必要性を提示した。

 三名の発表の後、山下克明氏が締めくくりとして「簠簋」研究における今後の課題についてまとめた。その中で氏は長らく議論されている「簠簋」成立の諸経緯(成立時期や作者、典拠)および位置付けと社会的影響、暦道を司った賀茂氏が「簠簋」をどう捉えていたか、といった各問題を再度明確化して提示、更なる研究深化の必要性を確認した。

 最後に総合質疑が行われ、特に馬場氏の発表にあった「大雑書」の編者にまつわる質疑や感想があがり、「大雑書」の編者が土御門家門人と交流のあった人物の可能性が指摘された他、鈴木氏の発表に関連した牛頭天王説話や晴明説話についての質問が出され、議論が交わされた。            

2022年3月1日火曜日

『新陰陽道叢書』に関するオンライン書評会のお知らせ

 『新陰陽道叢書』第5巻 特論を使用した以下の書評会がオンラインで開かれます。

どなたでも参加可能ですので、詳しくは『新陰陽道叢書』特設ホームページをご覧ください。 

※事前の予約が必要です。


【『新陰陽道叢書』特設ホームページ】

https://sites.google.com/view/shin-onmyodo#h.mnj7akjwe8om

【『新陰陽道叢書』Twitterアカウント】

https://twitter.com/shinOnmyodo

【『新陰陽道叢書』Facebookアカウント】

https://www.facebook.com/shinOnmyodo/








2022年1月9日日曜日

展示会(企画展)と講演のお知らせ:福井県おおい町「暦会館」にて”土御門史蹟”の企画展と講演

 【企画展と講演の御案内】福井県おおい町 暦会館 企画展「納田終の伝説と史実」と講演


中世、戦乱を避けて安倍晴明の子孫である土御門家の当主が三代にわたって居住した領地であり、現在もなお陰陽道の系譜を引き継ぐ土御門神道(天社神道)が守られている福井県大飯郡おおい町名田庄にある資料館「暦会館」(谷川泰信 館長)にて、2月1日から令和三年度 暦会館企画展「納田終(のたおい)の伝説と史実」が開催されます。

土御門神道を継承する「天社土御門神道本庁」を始め、同庁の祭祀場である「天壇(安倍氏居館跡地)」と「泰山府君社跡」、当地で生涯を終えた安倍氏(土御門家)当主三代の墓所、奥州安倍氏の伝説がある「薬師堂」、”おはけ神事”や”芝走り”といった特殊神事のある「加茂神社」などの”土御門史蹟”は歴史的に貴重かつ重要であり、同時にロマンあふれる伝説に満ちています。今回の展示会は”土御門史蹟”にまつわる史実と伝説を、史料を中心に紹介していく企画となっています。

同展会期中には「陰陽道史研究の会」の声かけ人でもある梅田千尋氏(京都女子大学)による講演「土御門家史蹟の再発見」もあります(※定員あり)

詳細は「暦会館」HPをご覧ください。


【おおい町 暦会館ホームページ】

https://ooi-koyomi.info/

『新陰陽道叢書』第五巻 発売中です

 


最新の陰陽道研究の集大成として刊行されてきました『新陰陽道叢書』も、一区切りとなる第五巻が発売されています。

第5巻は「特論」と題し、通時代的な陰陽道研究の諸課題についての最新の研究成果と考察を収録しました。

詳細は名著出版の特設HPをご覧ください。


※名著出版 『新陰陽道叢書』特設ホームページ(注文・購入できます)

https://sites.google.com/view/shin-onmyodo/#h.putqgjtyz4va